夜明け前の

もはや徹夜でゲームをしなくなったな、っと。

フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと(What Remains of Edith Finch) ストーリー考察

What Remains of Edith Finch フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと

ストーリー考察

家系図と年表はこちらで

Finch家
Edie以降の一族の内、各世代で一人だけが子供を作り、
他の人はすべて死亡(例外はWalter)する。

ここで注目すべきなのは「Finch」という名前。

フィンチはスズメぐらいの大きさの鳥ですが、
まず思い浮かぶのはダーウィンフィンチ、ガラパゴスフィンチ。
ダーウィンがガラパゴス諸島で見つけた鳥で、進化論の発想のもととなった鳥。
いわゆる進化の代名詞「フィンチのくちばし」。

Edithの描いたFinch家の家系図は系統樹みたいだし
finch-12.jpg

そこから考えられるのは、この一族の話は進化論の自然選択(自然淘汰)を表している話のよう。

つまり、種族を残すものだけが残り、ふるいにかけられてこぼれたものは淘汰された、という。


あくまで”自然選択”なので、人為選択=人の手による殺人では品種改良になってしまう。
なのでこの早死にする現象は、誰か人による殺人では無く、自然選択=”呪い”となるはず。

ただ、”生存競争”が起きていた可能性もある。
Barbara、Calvin、Sam、Walter世代で。


”呪い”というものがまだよくわからなく、いまいち納得行かないかもしれないが、
Finch家の人間、特にEdieが信じていたかが重要。
finch-07.jpg



一方、Edieの孫娘Dawnはキリスト教徒であり、進化論には懐疑的だったのかもしれない。

Dawnは3人の子供を自宅学習で育てていた形跡があり、
本棚にもホームスクーリングの本がある。
finch-05.jpg

自宅学習、ホームスクーリングはWikipediaによると
”1990年代後半には進化論の拒絶などの宗教的な理由が多かった”
とある。



もちろん進化の話はもっと複雑で、ダーウィンの説にしても現在では否定(とういか不完全と)されているようですが。

進化の話については読みかじりのニワカ知識ではこのへんが限界だが、
でも進化論が関わってくるのは間違いないと思う。


ハヤカワ文庫のフィンチの嘴読んで、ほかは立ち読み程度。

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他の要因も疑問点を見ながら考えてみる。




オーカス島(Orcas Island)とは?
ワシントンDC沖ではなく、西海岸のワシントン州、
シアトルとカナダのバンクーバーの間に実在する島。
Odin達はノルウェーから東廻りで到達したってことなのかな?

オーカス島は自然豊かな島で人口は2010年で5387人。




この家は誰が建てた?
ベースはEdieの夫Sven。隠し通路も。
SamとKayと子供世代のために3階に増築。このときには
もうSvenは死んでいたので誰が増築したか不明。
Dawn世代の増築部分はかなりバランスが悪く、素人感丸出しで雑な建てかた。


各人が死んだ後、その部屋をEdieが聖域、祭壇化して保存。
以降他の人に使わせることはなかったので上に増築していった。

Milton失踪後、Dawnが各部屋を充填剤で封印。Edieがのぞき穴を付けた。

なんか増築を繰り返すのはウィンチェスターの呪われた屋敷(ウィンチェスター・ミステリー・ハウス)っぽくもある。




上の方では電気付いてるけど?
最初に家に入ったときに、電気は切れているという記述があった。
だが、上階に行くと電気がついているところがある。
finch-06.jpg

一応その近辺では太陽光パネルが設置されているが、果たしてそれでまかなえるのか。
誰も住まなくなった2010年以前から太陽光パネルで賄うことをやっていたのか。
ひょっとしたら2010年以降誰かが住んでいた(る)?
失踪したMiltonか?



想像的な人々
フィンチ家の人々は想像的(創造的)というか妄想的というかそんな人が多い。
Edithにしてもメモリーを見る場面は妄想、幻覚とも言える。

また、EdieがEdithの誕生時に見たという引き潮の場面も夢、幻のたぐいだと思う。
Edieは幻視が見えていたとの記述もあるし、多分。
finch-03.jpg
ここにある「幻を見始めて姉と一緒に寝たベッド」という記述。

一番現実的だったのはSamだったんでしょうか。




Barbaraは誰に殺された?
Barbaraが死亡した経緯を記したコミック雑誌の内容で
部屋の間取りや壊れた手すりなどは意外に正確なので結構信用できるかも。

またこれにはWalter、Edie、Svenは登場するが
CalvinとSamは一切出てこない。
二人が事件に関わっていることも考えられる。
”生存競争”を見立てとして。

Walterが見たという怪物は下に記したようにひょっとしたら実在したかも。



Edieはどこいった?
DawnとEdithが出ていった後Edieが行方不明になったとされるが、
探索時にはEdieの部屋も封印されており、2010年に死去していることも記されている。

封印の仕方はDawnのものだし、のぞき穴もおそらくDawnが付けたものだろう。
どこで亡くなったかはわからないが、年も年だし、
DawnはEdieが亡くなったことをEdithには知らせてなかっただけかも。
お墓にもしっかりDiedと彫られているし。



Miltonはどこいった?
バンクシーっぽい絵を描くMilton。

隠し通路に描かれていたMiltonの絵を見ると、
Edithと同じ様なメモリーを”見て”、そこから何かを感じて失踪したのかな。
finch-10.jpg

どうやら別のUnfinished Swanってゲームとのつながりがあるようですが。



図書室
Edieが主に使っていた図書室。
ここの壁に貼ってあるメモにはValhöll(ヴァルハラ)とある。
finch-04.jpg

ヴァルハラは北欧神話における主神オーディンの宮殿。
オーディンはEdieの父、Odin。
単に図書室を宮殿に見立てていただけなのか、北欧神話がもう少し深く関わってくるのか。

メモは筆記体で書かれており私には読めんが、考えられるのは、
一説によると神話ではオーディンと娘ヨルズ(オーディンは万物の父)との間に子どもトールがいる。

つまり、そういう近親相姦があり、近親交配による遺伝的リスクが”呪い”という
現象を生んだとも考えられる。





邸内には大量の本があり、タイトルを見ていくと
キッチンには料理本、バーバラの部屋には芸能本、ウォルターの地下室にはオカルト本などが見られ、
他にはノルウェーやスウェーデンなど北欧の民話なども。

一方、タイトルで検索していくと、

The Weird (アンソロジー)
Gravity's Rainbow (重力の虹 トマス・ピンチョン著)
Pastoralia (ジョージ・ソーンダース著)
In Search of Lost Time (失われた時を求めて)
Swann's Way (失われた時を求めて 1巻)
The King in Yellow (黄衣の王)
Time and the Gods (時とかみ ロード・ダンセイニ著)
The Hardy Boys (ハーディ・ボーイズ)
NECRONOMICON (ネクロノミコン)
Jorge Luis Borges (ホルヘ・ルイス・ボルヘス)
The Call of the Wild (野性の呼び声)
Invisible Cities (見えない都市)
Alice in Wonderland (不思議の国のアリス)
Slaughterhouse five (スローターハウス5 カート・ヴォネガット著)

など実際に存在する小説、しかも幻想小説や奇妙な話が多い。


だがその中でも異彩を放っているのがNECRONOMICON(ネクロノミコン)で
これはクトゥルー(クトゥルフ)神話に出てくるアブドゥル・アルハザードが書いた魔導書で
架空の書物
finch-02.jpg

ラヴクラフトの小説などクトゥルー神話ではおなじみですが実在はしません。


一応ファンブックの形で出ているのはあり、それかなとも思うかもしれないが、
注目すべきなのは、他の本棚を見回しても
ラヴクラフトやそのフォロワーの書いたクトゥルー神話の本が多分一冊もないということ。

これは妙ですね。
もしこのネクロノミコンがファンブックだとしたら、例えば
持ってないゲームの攻略本を買うようなもの。しかも何冊も。


ここで考えられるのは、この「What Remains of Edith Finch」の世界では
ネクロノミコンは存在するということ。

現実には存在せず、クトゥルー神話内だけで存在するネクロノミコン。
さかしまに考えると、そっちの世界ではネクロノミコンは存在し、
小説家ラヴクラフトは存在しないことになると辻褄が合います。

(なおラヴクラフトの小説では、リアリティを増すため実在する本と
ネクロノミコンを並べて登場させるのはまま見られる手法)



そうなると、ネクロノミコンが存在する、ということはクトゥルー神話の怪物、邪神たちも
存在の可能性が出てきます。



ラヴクラフトの小説「クトゥルフの呼び声」では、不審な死に方をする人が出るが、それは
このフィンチ家の”呪い”のような描写にも感じる。


「クトゥルフの呼び声」はラヴクラフト全集2巻に収録

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更にいうと、ラヴクラフトが亡くなったのは1937年、Odinが家族、家とともに
船出したのも1937年となにやら符合する。



まぁネクロノミコンはH・R・ギーガーの作品集のような気もするが、
なんかそれだとあんま面白くないので、やはりここはラヴクラフト的世界観ってことで。

このゲームの雰囲気自体、エンディングの後から邪神が出てくる話に展開していっても
全く違和感ないと思うし。





このように北欧神話を土台とし、
進化論を縦糸に、ラヴクラフト的世界観を横糸として、
「百年の孤独」のような世代間の奇妙な幻想体験を織りなしていく。
という話である、

と考えてみましたが、見逃しているところがあったり、よくわかんないところは
無視したりしているので全く違う可能性も多分にあるけど、
開発者も結末はオープンだって言ってるし、こういう考えるっていう行為が楽しいので
これでよしとしときます。




ラヴクラフトは読みにくい部分もあるので、まずはコミックス版からでも
    
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追記
アンナ・カヴァン著 『氷』 (ちくま文庫)の
序文をクリストファー・プリーストが書いているが、
そこに文学のジャンルとして『スリップ・ストリーム』という言葉が出てくる。

元々フィリップ・K・ディックやJ・G・バラードなどのSF小説のジャンルとして
発生した『スリップ・ストリーム』という言葉らしいが、
その後、一般の小説家
カヴァンやプリースト、G・マルケス、村上春樹、(安部公房もそうだと思う)
などといった一種不思議な話を書く小説家も加えられたよう。


で、『スリップ・ストリーム』とはどういうことかというと、
見慣れた現実社会描写から
ふと、ビルのドアを開けたりして、視点をずらすと
そこには奇妙な人物などによる幻想的な物語が発生する、という。

つまり、「不思議の国のアリス」や「ピーター・パン」のような
異世界との区別がはっきりした物語ではなく、もう少し境目が曖昧な。

映像では「マルコヴィッチの穴」や、「世にも奇妙な物語」的な。

ただ、普通の幻想小説よりも不穏感がある話というか…。


そう考えるとこのゲームもやはり『スリップ・ストリーム』なゲームと言える。

以上。

アンナ・カヴァン 『氷』

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